モテ系同期と偽装恋愛!?

預けた荷物は部屋に運び入れてあるという説明を受け、朝食券2枚と部屋の鍵をカウンターの上に並べられた。

鍵にぶら下がるのは、半透明のプラスチックの棒に部屋番号が刻まれた物。

古い宿によく似合う旧式の鍵を見て、私と横山くんは思わず顔を見合わせてしまった。

その理由は古いからではなく、ひとつしかないからだ。

すぐに横山くんが、ふた部屋で予約を入れてあるはずだと言ってくれた。

すると慌てた様子で予約表のような用紙を引っ張り出し、カウンターの上で確認を始めたご主人。

「昼間に、ご予約者の変更があったと、うちのばあさんが……」

予約表を覗き込むと、最初に予約を入れた須田係長の名前に二重線が引かれ、横山ご夫婦と書き直されていた。

ふた部屋の予約だったところも訂正されて、ふたりでひと部屋に減らされている。

こ、これは……。

日中対応してくれたおばあさんに、子宝祈願のために祭り観光にきた、新婚夫婦だと間違われたことを思い出す。

荷物を預け、予約者の名前を変更してほしいと言ったのは私たちだが、部屋を一緒にしてほしいとは言っていないのだけれど……。

慌てて私は宿の主人に言う。

「姓は同じでも夫婦じゃないんです。
もうひと部屋、用意していただけませんか?」

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