モテ系同期と偽装恋愛!?

考え込んでいたら、桃ちゃんより食べるスピードがかなり遅くなってしまった。

ふたつのお皿の中のうどんの残量を比較して、急いで箸を動かしていたら、桃ちゃんにからかわれてしまった。

「遼介のこと、そんなに知りたいの?
本気で好きになれば、もっと色んなことが見えてくるかもよ。
案外アッサリ男性恐怖症が治るかもしれないし、いいんじゃないの?」

遼介くんの気持ちにも応えられるから、そうなるのがベストストーリーだと思うけれど、今は恋心を抱ける自信がない。

ただ、もっと彼のことを知りたいと思うようになったのは確かで、それは今までの私にはなかった感情だった。

うどんを食べ始めて10分ほど経った時、テーブルの上で私のスマホが震えた。

それは遼介くんからで、通話に出ると開口一番にどこでランチしているのかと聞かれた。

「近くのうどん屋さんだけど……」

「俺も行く、待ってて」

「え? でも遼介くんは社食じゃ……あ」

切られてしまった。

彼は大抵、社員食堂で食べている。
たまにコンビニ弁当の日もあるようだが、私たちのように外のお店の中で食べることは、少ない気がする。

それなのに、なぜ来るというのだろう。
付き合っていたら、一緒にお昼を食べないといけないものなのだろうか……。

恋愛経験ゼロの私なので、そういうものなのかと桃ちゃんに真顔で聞くと、プッと吹き出されてしまった。

「決まりはないけど、遼介が紗姫と一緒にいたいからでしょ。可哀想だから、なんで来たの?とか言わないでやってね」

「そっか……分かった」

私が頷いた後に「気持ちの温度にかなり差があるね」とも言われてしまう。

申し訳ないが、それは許してほしい。
遼介くんは本物の彼氏ではないのだから。

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