モテ系同期と偽装恋愛!?
一階に下り、玄関に向かう社員と逆行して社食に入る。
この時間、営業はしていないが、ドアは解放されているので自販機で飲み物を買って休憩することができる。
もっとも、休憩するより早く帰りたいから、夕方に利用する社員はいないと思うけれど。
カップの冷たいレモンティーを買い、誰もいない社食の入口近くのテーブル席に座った。
スマホで料理のレシピを検索して、自宅の冷蔵庫内にある食材を思い浮かべ、夕食は何にしようかと考え中。
すると誰かの足音が、廊下の方からこっちに近づいて来るのに気付き、視線をスマホから入口に向けた。
まだふた口しかレモンティーを飲んでいないのに、遼介くんがもう早仕事を終わらせて来たのだろうかと予想していた。
しかし現れたのは女性で、総務部の長谷川さん……遼介くんの前の彼女だった。
少々驚く私と違い、彼女は現れた時点で睨むようにこっちを見ているから、ここで会ったのは偶然ではないのだろう。
私に用事があるような彼女に、いい予感がしない。
遼介くんと私の交際の噂は、もう他部署にも広がっているのだろうか……。
きっとそうだと、そのスピードに驚くと同時に、背中に冷汗が流れていた。