モテ系同期と偽装恋愛!?

長谷川さんについて考えているということを悟られないように、残りのレモンティーを飲み干して鞄を手に立ち上がる。

並んで社屋から出たところで、そういえば遼介くんの家はどこだろうと思い、足を止めた。

一緒に帰ると言っても、私の家は徒歩15分の場所。

うちの社は基本車通勤が不可なので、多分彼は電車通勤だと思うけれど……。

一緒に帰るとは、駅までの5分ほどの道のりなのかと聞いてみたら、私の手を取り歩き出した彼にニッコリ笑ってこう言われた。

「違うよ、紗姫の家まで」

「送ってくれるの?」

「うん。それで紗姫の家で一緒に夕食を食べてから、男に慣れるための練習をする」

そんな計画は聞いていない。
家の中にまで入る気でいることに驚いて目を丸くしていたら、「俺の家でもいいよ」と言われてしまった。

二択しかないのなら、少しでも安心できる自分の家がいい。

でも、できれば家に上がってほしくないというか、怖いと感じ始めているのだけれど……。

私の怯えに気づいた遼介くんは、手を離してくれて、それから優しい声で言う。

「襲ったりしないから怖がらないで。
少しでも一緒にいる時間を長く取らないと、男に慣れないだろ」

「う、うん、でも練習って……」

「そうだな……手は繋げるみたいだし、体を寄せ合って一緒にDVDを観るのはどう? 頑張ろうよ、紗姫」

< 184 / 265 >

この作品をシェア

pagetop