モテ系同期と偽装恋愛!?
大会議室のドアを開けて、桃ちゃんと会話しながら廊下の角を曲がる。
すると、後ろから追ってきた誰かに呼び止められた。
「横山さん、ちょっとお話いいですか?」
振り向く前に総務の長谷川さんだと気付いたのは、2ヶ月ほど前も、社食で遼介くんを待っていた私に、彼女が同じように声をかけてきたことがあったから。
あの時、罵られるのではないかと身構えたが、交際の事実を確認されただけで終わったので、拍子抜けした覚えがある。
じゃあ、今回は何の用事があるのか……。
仕事面での直接的な接点はないので、遼介くん絡みなのは間違いない。
幾らか緊張しながら立ち止まって振り向くと、書類を手にした彼女が立っていて、前回と違うのは作り笑顔を浮かべている点だった。
「さっき、大会議室から遼介くんも出てきましたよね。仕事さぼって、ふたりきりで何していたんですか?」
笑顔に似合わない、意味深な言葉。
やましいことをしていなかったとは言えないので、私は顔を強張らせてしまう。
なにも答えられない私に代わり、腰に手を当てた桃ちゃんが言い訳してくれる。
「ふたりきりじゃなく、私もいたんだけど。見てたのなら分かるでしょ。
それに、ほらコレ。ミーティングしていただけだから、さぼりとか適当なこと言わないで」
桃ちゃんがパンと叩いてみせたのは、取引先の社名が書かれた青いファイル。