モテ系同期と偽装恋愛!?
ついでという言葉に疑問を感じてしまったが、特に不満もなくその雑務を引き受ける。
いや、正直にいうと、ひとつだけ不満というか、嫌だと感じてしまうことがある。それは、行き先が総務部である点だ。
廊下に出て4階へと階段を上りながら、総務の長谷川さんのことを考えていた。
大会議室を出たところで呼び止められて、遼介くんとの想い出話を語られたのは、1ヶ月ほど前のこと。
それから声をかけられることはないのだが、視界の端々に、やけに彼女の姿が映る日々を送っていた。
故意ではなく偶然だと思いたい。
それにもしかすると、私の方が意識して、集団の中から彼女の姿を探してしまっているのかもしれないし。
総務部の前に着いた。
開け放してあるドアから足を一歩踏み入れ、周囲を見回すと、すぐに長谷川さんの姿を見つける。
コピー機の前で作業中の彼女は私に背を向けていて、このまま気づかれない内に用事を済ませたいと思った。
勤怠管理者のデスクに向かい、クリアファイルを渡してひと言ふた言会話する。それからすぐに総務部を出た。
見つからなくてよかったとホッと胸を撫で下ろそうとしたその時……ドアの横に待ち伏せていたかのような彼女の姿を見つけて、肩をビクつかせてしまった。