モテ系同期と偽装恋愛!?

入口横の壁のスイッチを押すと、蛍光灯の明かりがコンクリートの壁とスチールラックだらけの、無機質な空間を照らし出す。

お仕置き部屋に連れ込まれた気分で背中に冷や汗を流しながら、これはもう謝り倒すしかないと、姿勢を正して彼に頭を下げた。

「ごめんなさい!」

「何について謝ってるの?」

「ええと……嫉妬させてしまったことについて……かな?」

語尾を疑問系にしてしまったのは、確信が持てずにいたから。

もしかすると、別の理由で不機嫌なのかもしれない。

私は彼じゃないので、彼の気持ちを100%理解することは不可能だった。

はずれていたら、さらに不機嫌にさせてしまいそうで、中々頭を上げられない。

すると「顔を見せてよ」と言われ、そろそろと身を起こすと……目の前にはいつものように優しく微笑む彼がいた。

「分かってくれていたんだ、俺の気持ち。
紗姫なら斜め上の解答が返ってきそうだったから、なんか嬉しい」

斜め上の解答って……。

今までビクビク怯えながら生きてきた分、人の気持ちに敏感な方だと思う。

恋愛についてだけは……経験がない分、鈍感なのかもしれないが。

ともあれ不機嫌さが解けた彼にホッと胸を撫で下ろし、あのメールを送った理由は嫉妬させたかったからではなく、特訓の成果を伝えたかっただけであることを説明した。

< 211 / 265 >

この作品をシェア

pagetop