モテ系同期と偽装恋愛!?

「分かってるよ、だから怒ってない。偽物彼氏の分際でヤキモチ焼いた俺が悪いのも分かってる。ごめんね、不機嫌になって」

自嘲気味に笑ってから彼は半歩近づき、私の腕を取って引き寄せた。

体にスーツの腕が回されギュッと抱きしめられると、ワイシャツの襟もとから香る甘い香水の香りが、私の鼻孔をくすぐった。

胸が高鳴るのは怖いからじゃない。

照れ臭くて、嬉しくて……この気持ち、なんて説明したらいいのか……。

一週間ぶりの温もりにもう少し浸っていたかったのに、なぜか一度腕が解かれて、くるりと体を反転させられた。

今度は背中側から抱きしめられる。

体の向きを変えられた理由はどこにあるのかと戸惑っていたら、彼の顔が私の肩に乗り、耳に熱い息がかかり、彼の右手が……ブラウス越しに私の左胸に触れた。

「り、遼介くん⁉︎」

「触らせて。紗姫は悪くないけど、総務の一年がやったことを、消化できそうにない。
平気だったんでしょ? 胸を触られても」

平気というか……あれはアクシデントで、怖くなくても固まってしまうほどに驚いたことは事実。決して平気だった訳じゃない。

そう説明しようとして、慌てて上半身を捻って横を向く。

すると、10センチの距離に色香を放つ少し垂れ目の双眼があり、鼓動が大きく跳ねた直後に唇が重なった。

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