モテ系同期と偽装恋愛!?

長いキスに息苦しさを感じ始めた時、舌が抜かれ、チュッとリップ音を立ててから、やっと唇が離された。

視界がぼやけない位置まで離れて見つめ合うと、恥ずかしさが込み上げ、赤面して目を泳がせてしまった。

一方遼介くんは、なぜか切なげに顔をしかめていて、大きな溜息までついてから、私を強く胸に抱きしめる。

「遼介くん……私、治ったみたいだよ。遼介くんのお陰で」

「うん、そうだね……」

「どうして喜んでくれないの……?」

昼前のメールをした時に不思議に思ったのは、私と一緒に成果を喜んでくれないことだ。

そして今も同じ。

怯えながら高飛車女を演じるしかできなかった私に、治そうよと言ってくれたのは彼なのに……。

怖がる私を励ましながら、根気強く練習に付き合ってくれたのも彼なのに……どうして苦しそうにするのだろう……。

遼介くんの気持ちが知りたかった。

顔を覗き込みたくて、体を少し離そうとしたら、逆に彼の腕に力が込められ、痛いほどに抱きしめられてしまった。

これでは耳と髪の毛しか見えなくて、気持ちを読み取ることができないのに。

ドアの向こうの廊下から、社食の賑わいが微かに伝わってきていた。

でも備品保管庫の中で聞こえるのは、彼の溜息だけ。

私の髪に潜り込む、小さくて重たい溜息が……。

< 215 / 265 >

この作品をシェア

pagetop