それは秘密です
「ぶっちゃけ、もし俺がその処理をしたとしても、そんな一言を書き添える気にはならなかったと思う。正直彼女にはムカついてたし」
「あ…。でも、それは現場で実際に迷惑を被ったからですし…」
「佐藤さんだって事前にそのいきさつを把握していたのに、それでも彼女にそういったメッセージを送った。君自身は自然に無意識にやったことだろうから自覚していないと思うけど、とても素晴らしい振る舞いだよ。それから俺の中で君の存在がどんどん大きくなっていって、仕事で関わる事はあまりなかったけど遠くから見守っているうちに好きになっていた」
「そ、そんな」


ストレートな表現に、大いに照れまくり慌てふためきてんやわんやしながら何とか言葉を返した。


「と、突然のことで、何だか頭が追い付かなくて…」
「あ。もちろん、この場で即決してくれなくていいから」


言いながら、加東さんは唐突に立ち上がった。


「むしろ、じっくり考察した上で答えを出してもらいたい」
「え?で、でも、あの…」


私には六島君という、もう3年近く思いを寄せている男性がおりまして…。


「気持ちが固まったら、ここに連絡して」


私が一人でてんてこ舞いしている間に加東さんはさっさか話を進めて行く。

予め用意してあったらしい二つ折りされた紙片を右手で上着の内ポケットから取り出すと、こちらにスッと差し出して来た。
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