それは秘密です
衝撃の告白を聞いてしまった立場として、それに対して何かきちんとコメントすべきなのか、それとも何事もなかったかのように接するべきなのか、スタート地点からすでに迷ってしまって。

……こんなんで私、彼にちゃんと思いの丈をぶつけられるのだろうか?

ため息を吐きながらたどり着いたロッカールームのドアを開け、室内に入る。

ほどなくして出勤して来た杏ちゃんに、万が一を考えてここまでのいきさつを説明し、口裏合わせを頼んだ。


「それは別に良いけどさ。でも、そんなんでこの先大丈夫なの?」


私の中にも浮上した不安要素を彼女はズバリ突き付けて来る。


「そんな風にいつまでも逃げ回っている訳にはいかないんじゃない?」
「う、うん。それは確かにそうなんだけども…」
「ちなみに私、水曜日は大学時代の友達とお菓子教室だから、実際には千代子とご飯を食べには行けないよ」
「あ、うん。それは分かってる」


その話は事前に聞かされていた。

先々月から通い始めていて、1回につき2時間、計12回のコースで、基礎からじっくり教えてもらえるので結構凝ったものが作れるようになるらしい。

ちなみに最後の授業では、ちょうどクリスマス時期と重なるということでデコレーションケーキが課題とのこと。

定番中の定番、だけどやっぱり皆が大好き、5号サイズのイチゴの生クリームケーキ。
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