それは秘密です
ひとまず会社近くのコンビニに立ち寄り、セルフサービスのコーヒーを買ってイートインコーナーの椅子に腰かける。

そしてケータイを取り出すと、メールを作成した。


『お疲れ様です。この前の返事をさせていただきます。今日これから、お時間いただけませんか?』


宛先は、この前教えられてひとまず登録しておいた加東さんのケータイのアドレス。

しばらく残業続きだと言っていたから今日もまだ社内に留まっている筈だ。

数分後、予想した通りの答えが含まれた返信が届く。


『お疲れ様。俺の方は残業で、今はちょっと抜けられないんだ。19時くらいに飯を買いに行く予定なんだけど、その時で大丈夫かな?』


即、了承の返信をした。

その際待ち合わせ場所の指定もする。

突然呼び出す事に対してのお詫びの文章はあえて入れなかった。

彼だってこの前、仕事の合間に、しかも虚偽の理由で私を呼びつけたのだからお互い様である。

ホント、改めて、ぶしつけで居丈高な人であると思う。

そういった強引ささえも魅力的に感じ、胸をときめかせる女性が結構な割合でいるのかもしれないけれど、今の私にとってはただただ腹立たしいばかり。


そう。


私は心底ムカついていたのだ。


六島君の思い人、かとうみつなりという存在そのものに。


その後、時間稼ぎの為にゆっくりとコーヒーを味わってからコンビニを出た。
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