それは秘密です
それでもまだ約束した時間まで20分以上あったけれど、移動と心の準備に費やすのを考えればむしろそれくらいの余裕が欲しいと思った。

待ち合わせ場所に指定したのは入社した年、私と六島君と杏ちゃんとで一緒にランチを摂った、我が社の北側徒歩3、4分ほどの所にある公園。

オフィス街の中にぽっかりと存在する憩いの場なので、遊具はなく、あずまやと敷地をぐるっと取り囲むように等間隔で石造りのベンチが置かれていた。

研修期間中、部屋の窓から外を眺めていた際に気が付き、「もうちょっと暖かくなったら行ってみようか」という話になった。

そして約束通り、5月下旬の天気の良い日にピクニック気分を味わうべく、売店で仕入れたお弁当を手に公園を訪れたのだけれど、あずまやは別の会社のOLさんグループが先に使っていたので、私達は石のベンチに腰かけることとなった。

しかし、目の前にテーブルがない状態で食事を摂るというのはなかなかの不便さであったことに遅ればせながら気が付き。

いや、遠足や運動会など、過去に散々経験して来たシチュエーションで、その時はすんなり順応していたというのに、ほんの数年ご無沙汰していただけでそこまでまごつくだなんて、私達はとても驚愕した。

また、真っ昼間はやはり公園敷地内もそれ沿いにある歩道も通行人の往来が激しく、何の囲いもないオープンな場所でお弁当を広げているものだからすこぶる視線が気になった。
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