それは秘密です
それがまた無性に癪に障ったりして。


「いえ、日数の問題ではないでしょう?もう、考えに考えた結果の答えですから」


ちょっとつっけんどんに対応してしまった。


「残念だな。他に誰か好きな人がいるとか?」
「それは…」


一瞬言い淀んでからハタと気が付く。

別にこの人に、そんなプライベートなことを答える義務なんてないじゃないの。


「それは秘密です」


なので私は強い口調で言い返した。


「もし、特別そういった相手がいないなら、お試しで良いから俺と付き合ってみない?」


ここまで結構失礼な態度を取ってしまっていると思うのだけれど、加東さんは全く意に介していないようで、更に食い下がって来た。


「俺って結構好きな娘には尽くすよ?今は何とも思ってなくても、そのうち俺のこと気に入るかも」

「……そうですね。普通の女性だったら、加東さんみたいな人にこんなに熱心に口説かれたら、それだけでメロメロになってしまうかもしれないですね」


そこは素直に同意した。


「でも…」


我ながら挑戦的だと自覚できる眼差しを彼に向けて言い放つ。


「私は無理です。絶対に嫌です。加東さんとだけは、お付き合いしたくありません」


六島君の心をわしづかみにし、あんなに悩ませ惑わせるあなたなんかとは。
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