それでも僕らは恋と呼ぶ。

「「「お疲れ様でした」」」

 今日の部活も無事に終わったわけだけれど、通常に比べると昨日と同じように遅い。

 きっと本番が終わるまではずっとこの調子だろう。

 昨日のうちに遅くなると言っておいて正解だ。


 いつもより遅く終わるわけだから、お腹の減り具合は尋常じゃない。

 早く家に帰って空腹を満たしたいもんだ。

 手の中にある銀色の楽器を、迅速かつ丁寧にケースの中へとしまっていく。

 オレが片付けが終わったころ、佐野も片付けが終わったようで、自然と帰りが重なった。


 いつもと同じだ。

 いつも、帰りがちょうど重なって、途中までは一緒の道だから一緒に帰っている。

 前の彼女と一緒に帰ることなんてなかったなぁ。付き合ってたときも普通に佐野と帰ってた。

 元カノとは帰りがかぶらないし、あっちもわざわざオレを待つこともなく、オレもあっちを気にすることもなかった。

 でも、佐野と帰るのは、もうテンプレートみたいなものなだけだ。


「寒いね」

 今日だけで何回もきいただろうその言葉を、誰も飽きずに口にする。

 きっと明日もみんな言うだろう。

 佐野ははぁっと息を吐いて白くなったのをみると、子供のように笑ってみせた。

 オレもつられて息を吐いて、白いのを確認してしまう。

 まるで子供みたいだ。


 
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