Last Letter~手紙がくれた想い~
「「おやすみ、兄ちゃん」」
22時
初めてのギター講座をやり終えた2人は満足げに自室へ帰って行った。
2人を見て思ったこと。
『センスがいい』
それだけだ。
明日、弘斗に報告してやろっと。
そう決めた俺。
『……今日は満月です』
テレビをつけて天気予報を見ているとお姉さんが言った。
そうか。
今日は満月なのか。
カーテンを開けてベランダに出た。
そこにはお姉さんが言っていたように満月が見えて、胸が熱くなった。
秋風が肌に刺さる。
薄手の長袖じゃ、ちょっと肌寒かった。
そろそろ部屋に引き上げようと思い、視線を下げて行く。
「…………………」
やっぱり、3階の真ん中の部屋、
誰かいる。
昨日までは夜でも真っ暗だったのに、今は明るい。
どんな人なんだろう…
そのときの俺はなぜかそんなことを考えていた。
あまり人に興味を持たない俺が、
いつもなら考えないようなことを考えていた。
もしかしたら、このときから感じていたのかもしれない。
これから起こる、様々な出来事を。