太陽と月の後継者
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「ゲーテ・ファナリス…」

3のSの教室に、
馴染みのない声が響く。

ゲーテは、イズミのはからいでミシェラード学園の編入生ということになっている。

3年の2学期から編入となると、
やはり珍しいのか皆ゲーテを見て口々に話していた。

ゲーテのフルネームは
ゲーテ・ドラゴン。

いろいろと面倒な名前なので、
クロエがクレア・フルームと名乗るようにゲーテもゲーテ・ファナリスと名乗っていた。

昼休みになると、クロエの教室に顔を出しに来たゲーテ。

3年で、さらに見たこともない先輩が教室に顔を出しに来たとなると教室は一気に騒がしくなる。

キルはあれ以来、もう学校は辞めてしまい、事業に専念しているようだ。

燃えるような赤茶色の長い髪を半分刈り上げ、半分は低くポニーテール。
焼けた肌にオレンジの瞳は鋭く、制服も着崩していて、一見不良。

元々顔は結構整っている方で、美貌を聞き付けたたくさんの生徒が集まってきていた。

「クレア、聞きてぇことあんだけど。」

クロエは慌てて席を立つ。

新学期早々、クラスは賑やかでリオやビアンカ達も例外ではなかった。

突然の訪問に、ルカも眉を寄せる。

『どうしたの?』

少し小声で話すと、ゲーテは困ったように頭を掻いた。

身長の高いクロエだが、学校1と言っても過言ではないゲーテの身長に心の中で驚いていた。

「は」

『は?』

いきなりこちらに倒れてくるゲーテを咄嗟に支えると、なんとも間の抜けた声が聞こえてきた。

「腹減った〜」

クロエは必死に支えているのだか、
その重さに顔を顰める。

体制を崩したゲーテを反射神経が半端ではないリオが支えた。

リオは見た目に反してかなりの怪力を持つ。

因みにヨウテスもリオの次に怪力だ、そして千里眼を持っている。

警戒心の強いビアンカや、相変わらず感情の読めないポーカーフェイスのルカは席に座ったままだった。

適当にクロエの隣に座らせると、
ゲーテは机に突っ伏した。

『あの、私食堂行ってくるね。』

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