太陽と月の後継者

ゲーテが腹を空かしている事を伝えると、リオとヨウテスが笑った。

7人で食堂へ向かうと、
好奇や疑問の目で見られる。

それは何時ものことだが、今日のように疑問のこもった目で見られるのはあまりなかった。

恐らく、ゲーテの事だろう。

クロエ達は学園内で有名な美形集団とされている。

その強さ、美しさ、優秀さの噂は中等部や初等部、学校外にまで及んでいた。

実力派の魔法使いで優秀な為、次期生徒会とも言われている。

勿論生徒会長はクロエ
副会長はルカ
書記はビアンカ

と言うように、あらぬ妄想を頭中で爆発させている生徒達。

耳が良いリオとゲーテは溜息をついた。無論、気付いているのは二人…もしくは三人だけだ。

「はぁ…」

大きく二度目の溜息をついたリオにゲーテは同情するような目で見た。

「お前ら、何時もこんななのか?」

「そうなんです。でも、他の皆は気付いてないし…ゲーテ先輩も耳いいんですね。」

「あぁ、お前も苦労してんだな。
…敬語とかいいからやめろよ。」

元々牢獄に入っていたゲーテ。
敬語は慣れていないようだ。

リオは目を大きく開く。

「どうした?」

「見た目と全然違うから…」

ゲーテは笑い声を上げた。リオは更に食い入るように目を見ている。

大人数用のテーブルに座ると、
リオの頭をくしゃくしゃと撫でた。

その行動に一番クロエが驚く。

「見た目で決めつけないことだな。」

楽しそうにゲーテが笑うと、
次には腹を抑えた。

「腹減った〜」

案外感情が豊かなゲーテを
クロエは微笑ましく見ていた。

(学年は違うけど、何とか馴染めそうね。)

ヨウテスとルカ、レイ、ビアンカが昼食を持ってきてくれたことに感謝し、ようやく食事にあり付いた。

「うっめ〜!!」

何処にでもある食事だが、久しぶりの食事にゲーテは堪らない様子だ。

「行儀が悪いわ。」

ビアンカは眉間に皺を寄せるものの、
新しい仲間に頬の緩みを抑えきれていない。


「素直じゃないなービアンカは。」

リオがクスッと笑うと、
ビアンカは顔を赤くして俯いた。

そんな様子にゲーテは、「出来てんのか?」とふたりに聞く。

ふたりは途端に顔を真っ赤にして否定した。

(素直じゃねーな)

とゲーテは心の中で呟く。

気を取り直したリオは、ヨウテスに話しかけた。

「昼からだけど、一緒に訓練室行かない?

ヨウテス…その、もうすぐなんでしょ?」

遠慮がちに言うと、ヨウテスは頷いた。

「いいぜ」

もうすぐ とは何なのか、クロエは首を傾げる。

ゲーテは別のことが疑問だったらしい、「昼からって、授業とかってあんじゃねーのか?」と案外真面目な彼に皆が驚いた。

『授業はないよ。Sクラスは普段学校自体あんまり来なくていいし、Aクラスも二学期からは昼だけ自由だしね。』

ゲーテはぽかんと口を開ける。

「なんつー自由放任っぷりだ……
って、俺ってもしかしてサボり放題なのか!?」

ゲーテが興奮気味に言うと、
周りは笑って頷いた。





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