太陽と月の後継者

クラビアン家の後継者

___________
_____
_____

「でっ…兄貴の調子は…っ…どうなんだよっ!」

「最っ…高だって……さっ!!」

長い長い格闘。
リオに相手をしてもらっているヨウテスはかなり疲れているようだ。

「はぁっ…はぁっ…はぁっ…っ。」

二人一緒に床に倒れ込む。
かれこれ5時間、夢中になりぶっ通しで戦っていたようだ。

ただでさけリオの相手は大変なのにとヨウテスは隣の彼を見る。

汗は浮かんでいるが、
自分より疲れていない。

ヨウテスは悔しそうに唇を噛んだ。

器が違う

と痛感した。

姉と兄を持つヨウテスはまだ下がいて、妹が二人いる。兄弟の中で一番年上の姉はやはり力が一番強い。

だが、穏やかな森のような清い性格で戦いを好まなかった。

クラビアン家に代々と続く試練。それは兄弟に勝つこと。そして、勝った者が次期族長となれる。

普通は第一子が族を引き継ぐのだが、クラビアンは実力派だった。

ヨウテスの妹達は双子でまだ幼く戦力外。さらに姉はきっと兄弟で争うのは好まない。

残るは兄、ユンテス。問題は姉とは似ても似つかぬ捻くれた性格だった。

絶対勝たなくてはいけない。そんなプレッシャーが彼に重く伸し掛る。

次男に任せるのは無茶だと言った両親に腹を立てたヨウテス。

“絶対勝ってやる。”

そう思って取り組んだ魔法大会。

勝てば上級魔法使い、両親を見返せる。

一生懸命取り組んだのにも関わらず、結果はリオに負けて予選敗退。

結局は器

そう思い知らされた。

両親があの考えに至ったのも、全部わかってしまった。

悔しくて悔しくて唇を噛む力を強くする。

リオは苦しそうなヨウテスを見て心を痛めた。リオは大狼族の次期族長。

一人っ子のリオは跡継ぎ問題には何ら困ることは無かった。

お陰で強い力を両親から授かり、今でも順調に育っている。

クラビアン家

ヨウテスの両親に何度か会っているが、二人ともとても優しかった。やはり、この試練には何か理由があるのか?それとも伝統か?

頭の中でリオは何度もその言葉を繰り返した。



< 152 / 220 >

この作品をシェア

pagetop