太陽と月の後継者
クロエの部屋は寮の最上階にあった。
その為、学園や街を一望出来る。

「クレア、手伝うよ」

シチューを煮込み、サラダを作り始めたクロエにルカが声をかける。

『ルカ!大丈夫だよ。もうすぐ出来るから待ってて?』

ルカは、クロエの手を後ろから包み込むように握り、驚いたクロエは手をビクリと震わせた。

「ほら、ちゃんと手を見なきゃ危ないだろ」

『そ、それはルカが…』

反論しようとするクロエを制するようにルカは言葉を続ける。

「わかったら貸して」

これは、彼なりの不器用な優しさなのだろうとクロエは渋々折れ、煮込んでいるシチューをおたまでくるりと混ぜ込み少量お皿に移して味見をした。

『うん 美味しいっ』

「俺にも頂戴」

野菜を切ってポテトサラダを作り終えたルカはクロエの手から
先程味見に使用したお皿を取る。

『そ、それさっき使ったやつだから…』

ルカは、慌ててほかのお皿を探し出そうとするクロエを置いて、さっと味見をする。

「…うまい」

にっとクロエに笑いかけるルカは、間接キスをしたことを知っているのか知らないのか…。

ただただ頬を染めるしかなかったクロエだった。

< 47 / 220 >

この作品をシェア

pagetop