太陽と月の後継者

そう言い駆け寄ってくるのは、
ビアンカ、リオ、レイ、ヨウテスだった。

「お疲れ様!!」

「決勝進出じゃん!!」

「クレア、貴女って本当に最高ね。」

ビアンカは今にも泣き出しそうな勢いだ。

『ありがと…!でも、まだ終わってないよ。』

クレアはヨウテスの手を借りて
立ち上がる。

「クレアとルカには聞きたいことがいっぱいあるけど…。ま、終わってからにするな!」

レイが興味津々というように見てくる。

『うん!覚悟しとくね。』

「クレアっ俺の分も、頑張ってきてね!」

リオは悔しそうに頬をかいた。

「あー!ずるい私の分もね!」

続けて、レイが言葉を続けた。

クロエはにっこりと笑い

『うんっ!!』

と答える。

その後、ルカとも合流して、全員で昼食を食べていた。

『うーん、そう言えばキルがいないんだよね…。』

その言葉に、ビアンカとリオが一瞬固まる。

『どうかしたの?』

「「なんでもない!」」

そう?と言って首を傾げ食べ始めるクロエに
ふたりは息を吐いた。

『んー!美味しい』

クロエはよっぽどお腹がすいていたのかよく食べる。

「お前…太るぞ。」

いつもより口数の増えたルカは、
結構毒舌だ。

『大丈夫だよー。
毎日毎日試合でへとへとなんだから。』

「…試合、腹痛になるぞ」

ーピタッ

その言葉にクロエの動きが止まる。

「ハハックレアってクールに見えて結構単純だよな!」

『…ご馳走様でした。』

レイが軽くツッコミを入れると、
クロエは立ち上がった。

「もう行くのか?」

ヨウテスは心配そうにクロエを見る。

『うん!ちょっと外の空気吸ってくるね。』

それだけ言うと、食器を片付けて外へ出ていった。



『すーー、はぁ…。』

何度目かの深呼吸をして、雲のない空を見上げる。

(今日は確実に何かが起きる。)

前からの不安は、今日実現してしまう。

一体自分に何が起こるのか?

それはきっと決勝戦で分かるはずだ。

クロエは不安に負けないように、ぎゅっと胸元を抑えて、無意識にもう片方の手で白いワンピースの裾を掴んでいた。

「クレアっ」

暫らくするとそこに、額に汗を浮かべたビアンカが現れた。

『??』

「クレア、無理しちゃだめよ。
別に今日じゃなくたって…。」
ビアンカは前の約束を気にしているらしい。

クロエは安心させるように微笑んだ。

『ううん、これは私のためでもあるから。』

「クレア…」

『じゃあ、行ってくるね!
絶対に勝ってくるから。』

クロエは闘技場まで走り出す。

その背中を、ビアンカは不安そうに見つめていた。

















< 75 / 220 >

この作品をシェア

pagetop