恋の罠にはまりました~俺様部長と社内恋愛!?~
よく眠れないまま異動から一週間が過ぎ、とうとう撮影当日になってしまった。
場所は、いつも販促部がCM撮影で使うというスタジオ。
事前に地図を受け取っていたから、その入り口まではたどり着けたけど。
「に、逃げたい……」
全く未知の世界に飛び込む不安で、心臓は激しく脈打ち、汗がふきだす。
「何してるんですか?」
背後から声をかけられ、さらにドキッとした。
もしかして、不審者に間違われたのかな。
肩をつかまれ、その力に任せるままに振り返ると……。
「さ、佐伯くん?」
「白鳥さん」
向こうも、目を丸くしていた。
どうして佐伯くんがここに!? ……じゃない。彼はたしか販促部。ここにいてもおかしくない。
「なんだよ。今日のモデルじゃないか。キョドッてるから、変な人かと思った」
やっぱり不審人物に間違われてた……しかも、最近会ったのに後姿じゃ気づいてもらえないなんて。
がっくり肩を落としていると、笑っていた佐伯くんの頬がひくりと動き、変な形で固まった。笑っているのか怒っているのかわからない形で。