恋の罠にはまりました~俺様部長と社内恋愛!?~
「おはようございまーす! 日下部長、早いですねえ! おや、モデルさんに佐伯くんも」
大きなおなかをゆさゆさ振って現れた、人相の良い太ったメガネの男性。たしか、販促部長だ。
「部長、彼はとても疲れているようです。帰宅させてあげてください」
「えっ?」
日下部長が販促部長に言う。
「佐伯くん、大丈夫?」
「は、はい」
「朝っぱらからよろけて、女性に寄りかかるくらいなので、よほど体調が悪いかと」
日下部長が優しい声音で言うが、その目はまったく笑っていない。
むしろ、佐伯くんをにらみつけていた。
「そりゃあいかんね。病院へ行きなさい。どのみち君は、見学しにきただけだし」
販促部長が心配そうに佐伯くんの肩を叩く。
そっか、佐伯くんは今回の企画には絡んでないんだ。先輩について見学する予定だったのか。
「……失礼します」
佐伯くんは日下部長ににらまれ、私とも目を合わさず、こそこそと逃げ去っていった。
被害妄想も甚だしい。本気で病院に行った方がいいよ。
「じゃあ、行きましょう。白鳥さん、よろしく」
「は、はい! よろしくお願いします!」
忘れていた緊張が一気に戻ってきて、膝が震える。私は二人の部長に引きずられるようにして、スタジオの中に入ったのだった。