恋の罠にはまりました~俺様部長と社内恋愛!?~
「よく見た? あの化粧品、うちの会社の商品でしょ。今回だけ、社員を使ってCMを作ろうって話になって、それで」
「それでどうして? あんたの会社、知美ちゃんもいるんでしょ。なのになんであんたなの」
幼なじみなので、当然母も知美のことは良く知っている。
ほらね、これがあのCMを見た身内の素直な感想なのよ。
社内でもそう思われてるんだろうなあ……。
もう話す気もなくなり、母の手を振り払って無言で二階に上がろうとした、その時。
「ねえっ、あの化粧品、いくらするの?」
「はい?」
振り払われたにも関わらず、母はもう一度私の肩をつかむ。
「あんたが使ったメイク用品一式、私も欲しい! ねえ、会社にサンプルとかないのっ?」
「一応、サンプルはもらったから家にあるけど……」
母は学校給食の調理パートをしていて、どうせ汗で流れてしまうからと、ほとんど化粧をしない。そんな母が、こんなに食いつくなんて。
「同じ遺伝子を持った普通顔のあんたが、あんなに綺麗になったんだもの。私だってなれるはずでしょ」