恋の罠にはまりました~俺様部長と社内恋愛!?~
ほんと、テレビの影響力ってすごい。
他の視聴者もこうやって思ってくれれば、商品の成功間違いなしなんだけどなあ。
「どうせ誰も見てないだろうけどさっ、自己満足でもいいからちょっとやってみたいって気になったのよ」
今年五十歳になる母の顔はシミとシワだらけで、何とも哀愁を感じさせる。
そっか……何歳になっても、普段は気にしていないように思えても、やっぱり母も女なんだ。
「でもあれ、プロのメイクさんにやってもらったから……素人で完全に再現できるとは言い難いんだけど」
ベースメイクは試供品がないし、あったとしても五十代の肌には合わない。もっと保湿力の高いものでないと。
「いいのいいの。CMでもメイクの仕方はwebでって言ってたし、ちょっとタブレットで見てみるから」
まだガラケーで、アドレス登録もろくにできなくて私に丸投げしてくる母が、タブレットを使う気になっている……!
私はちょっと感動して、というか母の迫力に押されて、いつの間にかこくりとうなずいていた。
自室に戻り、会社でもらったサンプルを持ってきて、居間のテーブルに広げる。
すると母は、まるで新しいおもちゃをもらった子供のような笑顔で、それを覗き込んだ。