恋の罠にはまりました~俺様部長と社内恋愛!?~
「親父お気に入りの婚約者がいれば、違っただろ。今日は来ないのか?」
婚約者……そういえば、撮影のときもそんなことを言っていたような。
「ああ、あいつとは……」
副社長が口を開こうとしたとき、社長の体が微妙に動いた。
「さ、小夜子?」
その声を聞き、一成と副社長が同時に社長を振り返る。
小夜子って言った? それ、誰?
「こっちに来て、よく顔を見せてくれ。小夜子だろう?」
社長は私に向かっておいでおいでと手招きをする。
後ろを振り返るけど、誰もいない。やはり私に話しかけているみたい。
「父さん、違うよ。この人は白鳥姫香。俺の大事な人」
優しく言い聞かせるように話しながら、一成の大きな手が私の背中を押す。そのせいで、私は彼より社長の近くに行くことになってしまった。
「こ、こんにちは」
挨拶をすると、社長は少し残念そうに眉を下げた。けれど、一度瞬きをするとふと笑う。
「そうだよな、小夜子はもう亡くなったものな……」
「え?」
「よく似ている。小夜子に会えたようで元気が出るよ。ありがとう、お嬢さん」