恋の罠にはまりました~俺様部長と社内恋愛!?~


「なんだよ。看護師さんたちが見てるぞ」

「関係ない。俺の質問に答えろ」


テーブルにもたれかかる副社長を、一成がにらんでいる。

今まで見たことのないような、怒りを含んだ瞳で。


「理沙は……理沙はどうして来ない。最近病院でも姿を見ないとは思っていたが……」


理沙? また知らない名前が出てきた。


「理沙に会えることを期待して、頻繁に見舞いに来ていたのか?」

「そうじゃない。俺の質問に答えろ」


厳しい一成の口調に、副社長は肩をすくめるふりをした。


「別れたんだよ。婚約は解消」

「なんだと。聞いていないぞ」


今にもつかみかかりそうな勢いの一成に、ハラハラする。


「理沙が言わないでくれって言ったからだよ。そもそも、あいつから婚約の解消を言いだしたんだ」

「まさか」

「信じられないなら、自分で確かめろ」


そう言われた一成は、ぐっとうつむいた。かと思うと、大きく踏み出す。


「一成!」


どこへ行くの?

思わず声をかけると、一成が振り向く。

そこで初めて私の存在を思い出した。そんな顔をしていた。


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