恋の罠にはまりました~俺様部長と社内恋愛!?~


「さて、まず小夜子という女性のことだけど」


副社長の車は、一成の乗用車とは違う、シルバーのやたら大きな外車だった。車に興味はないので名前はわからないけど、その風格からして一般庶民に買える代物ではないことはわかった。

その車の助手席に乗せてもらい、病院の敷地の外に出た途端、副社長は話しだす。


「小夜子というのは、日下小夜子。俺たちの母親の名だ」


俺たちのということは、当然一成の母親でもある。


「社長の奥様は、去年お亡くなりになっていますよね」


人事部だったころに、社長の奥様が急にお亡くなりになったという訃報を社内メールで各部署に送った記憶がある。


「そう。それから父はすごく落ち込んで、みるみるうちに弱ってしまった」

「い……部長は、病気でメンタルが弱くなっているって……」

「きみたち付き合ってるんだろ。部長じゃなく一成と呼べばいい。まあそれは置いておいて、父が病気でメンタルが弱くなっているって言うのは当たってるよ。もともとへこんでたところに追い打ちをかけるように病気になって、余計弱っている」


無理もない。だから精神的に追い詰められてしまったのか。


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