恋の罠にはまりました~俺様部長と社内恋愛!?~


「デート中にいきなり相手の父親の病室につれていかれて、そこで置き去りにされたってこと? マジなの?」


知美は美人に似合わない中ジョッキを持ったままこちらをにらむ。


「で。彼氏はお兄さんの婚約者のことが好きだった。別れたと知って、即その女のところに行ってしまったと」


こくりとうなずくと、彼女は大きく首をかしげた。


「意味がわからない」

「ですよね~……」

「ああごめん。話の意味がわからないってことじゃなくて、彼の行動の意味がわからないってこと」


と言いながら、知美は焼き鳥の乗ったお皿をこちらにすすめてくれた。

彼女が連れてきたのは目の前で焼き鳥を焼いてくれる焼き鳥屋さんで、炭の香りともくもく出る煙で、余計に涙が出そう。

知美が知っているお店だと言うから、もっとオシャレなところかと思っていたのに、周りは酔っぱらいのサラリーマンで溢れている。


「知美ちゃん、今日も綺麗だね~。はい、サービス」

「わあ、ありがとう店長」


語尾にハートマークをつけ、愛想の良い頭にタオルを巻いた店長さんに微笑む知美。

目の前には、頼んでいない焼き鳥の盛り合わせが。


< 186 / 286 >

この作品をシェア

pagetop