恋の罠にはまりました~俺様部長と社内恋愛!?~
「でもさ、姫香とこういう話ができて嬉しいよ。不謹慎だけどさ」
「え?」
「あんた、私のこと嫌いでしょ」
ぎくりとした。
まさか、気づかれているなんて思いもしなかったから。
知美がこっちの気持ちを想像するはずなんてないと、思いこんでいたから。
「大丈夫よ。私も、あんたのこと嫌いだったもの。いつも私のこと羨ましいな、目障りだなーってジトッとした上目遣いで見ててさ。すごく鬱陶しかった」
……本当のことをきっぱりと言いやがったな。
じゃなくて、知美は何にも気づかないようなふりして、私のこと見てたんだ……。
「やっぱり、恋の力は偉大ね。姫香、表情が明るくなったもの。こんなことでうじうじしてたらもったいないよ。次の相手、紹介しようか?」
知美は一人で勝手にうなずきながら、食べ終わった焼き鳥の串を人に向けてくる。そんなもので人を指すなっつうの。
しかも、ちょっと褒めてくれているのはわかるけど、なんとも的外れなアドバイスをくれるし。
「いい」
私だって幸せになりたいとは思っていたけど、誰でもいいから彼氏が欲しいとは思っていなかった。今だってそれは変わらない。