恋の罠にはまりました~俺様部長と社内恋愛!?~


「営業より人事が向いていると判断されたんでしょうね」


配属の希望はただの希望であって、決定じゃない。

新入社員の『こうなりたい』なんて気持ちは、採用チームには関係ない。

彼らの仕事は、適材適所、その場所にあった人間を配属すること。

そりゃあ、当たり前だよね。就活は企業に入って何がやりたいか、じゃなくて、自分に何ができるかが重要なんだ。


「異動願いは出さないのか。昨日今日見ただけでも、お前が人事の仕事を楽しんでいるようには思えないが」

「出せないですよ。異動願いを出すってことは、『もうここにはいたくないけど、我慢してやってるんです』って言っているようなものじゃないですか」


そんなことしたら、風当たりが強くなる。

周りは今まで以上に冷めた目で、私を見るだろう。


「なるほど」


部長は短くうなずくと、焼けたお肉を私のお皿へ放る。


「せっかくの食事だ。まずくなるような話はここでおしまいにしよう」


自分から始めたくせに……。

その後は、社内の当たり障りのない話をしながら、おいしいお肉を堪能した。


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