恋の罠にはまりました~俺様部長と社内恋愛!?~


「これで話ができる」


日下部長は私のデスクに肘をつき、上半身を乗り出して顔をのぞきこんでくる。

やめてやめて、近い近い。

逆に背骨を変な風に曲げ、顔を遠ざけようとする私に、彼はひとこと。


「体の具合はどうだ」

「へ?」


体の具合? 別に風邪にもインフルエンザの流行にも乗ってないけど?


「お前、初めてだっただろう」


思わず、イスから落ちそうになった。


「途中で気づいたが、遅かった。無理をさせたが、その後不調はないか」


こ、この人真顔で、なんてことを! まだ社内だというのに!


「だ、だ、大丈夫です。あの日のことは、全部忘れてください」


自分から誘っておいて、実は初めてですなんて、言えなかった。

相手が日下部長じゃなくて、慣れていない下手な人だったら、大惨事になっていたかも。


「何を言っている」

「ごめんなさい、ほんの出来心だったんです。もう私に関わらないでください」


仕事が終わったなら、もうここにいる意味はない。


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