恋の罠にはまりました~俺様部長と社内恋愛!?~


「はぁ~」


熱に浮かされたようになりながらも、なんとか帰ってきて夕食をとった。

好物のから揚げをあまり食べなかったことで母に心配された。けど、こんなときに食欲なんてわかないよ……。

決してオシャレとは言えない、今時銀色のバスタブに浸かり、ひびの入ったタイルの壁を眺める。

こういう庶民的な暮らしが身に染みついている私のどこを、日下部長は気に入ったと言うのか。

あの夜のことを思い出すと、ぼっと顔から火が出そうになる。

『俺がお前を変えてやる』なんて言ってたけど、日下部長はいったい何をどうしかけてくるつもりなんだろう?


「とりあえず、ムダ毛処理しておこうか……」


そろそろ毛穴も開いた頃だろう。

シェーバーを持ち、自分の体を見下ろし、はっと気づく。

鎖骨の下に赤いアトが……。

これって、これって。


「きゃああ!」


まさか、自分の体にキスマークがついているなんて! しかもそのことに丸二日、気づかないなんて!

驚いてちょっと飛び跳ねたら、着地時点で足が滑って、みごとに転んだ。


「いぎゃあっ」


おしりをしたたかに打ちつけ、涙がにじむ。

とほほ……今時とほほなんて言っちゃう私が、御曹司と付き合おうだなんて、やっぱり身分が違いすぎるかなあ。


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