嫌い、のち好き、のち愛

「見せて」


「い、嫌」


必死に隠そうとする真咲ちゃんの腕を強引に引っ張る。


「……っ!」


そこには思っていた以上にくっきりと、赤紫のアザが残っていて。


俺のつけてしまったその痕を、そっと指で撫でる。


「ごめんね、ごめん、ごめん」


無意識にしろ女の子にこんなことするなんて、最低だ。


やっぱりこんなことを真咲ちゃんに頼むんじゃなかった。


「痛かったよね。ほんとにごめん、ごめん」


アザを撫でながら謝罪を繰り返す俺の手に、真咲ちゃんの手が重なる。


「私は大丈夫ですよ。私より、村上さんの方が痛いと思うので」


そう言われて、驚いて顔をあげた。


優しい笑顔の真咲ちゃんと目が合って、呼吸が止まる。


「私は平気です」


ああ、やばい。泣きそうだ。


俺は両手で顔を覆った。

< 54 / 128 >

この作品をシェア

pagetop