嫌い、のち好き、のち愛
「姉ちゃん、自分の夢あきらめて俺のこと育ててくれたから。頭上がんないんだよね。で、今の、こないだ会った俺の義兄さんと結婚して。俺は十七歳から一人暮らしを始めた」
姉ちゃんも幸太さんも一緒に暮らそうって言ってくれたけど、俺はもう姉ちゃんの幸せを邪魔したくなかった。
だから毎日バイトして、少しだけ姉ちゃん達の助けを借りて、一人で暮らしてた。
「その頃からかな。母親の夢見るようになったの。自分でもびっくり。五年間、平気だったのに。捨てられる夢を見るんだ」
行かないで、と言っても……振り向くこともしないあの人に、すがりつく。
俺はいらない人間なんだと、そのたびに思う。
「もう、いい大人なのに。恥ずかしいよね」
そう言って笑って真咲ちゃんの顔を見た俺はビクッと身体を震わせた。
すごい険しい顔して、パン食べてる。