手に入れる女
優香が一眠りして目を覚ますと、隣りに佐藤が横たわっていた。
さきほどまでのひと時がうそのように温和な顔をしている。優香の知っているいつもの佐藤の顔だった。
夢じゃない……
手を伸ばせば、佐藤に触れることができる。
優香は恐る恐る佐藤の頬をなでた。体をぴたりとよせて、腕を佐藤の体にまとわりつかせる。
こうやって佐藤の存在を体で感じていないと、ふっと佐藤が消えてしまいそうで不安だった。
欲しい……
佐藤が欲しい。
佐藤と抱き合って、溶け合って一つになったようなそんな感覚を感じてなお、いや、だからこそ、優香はそれだけでは満足が出来ない。
自分のものにしたい。
自分だけのものにしたい。
佐藤が……欲しい。
体の芯から突き上げてくる強い欲求に、優香自身が戸惑っていた。
優香はじっと佐藤の顔を眺めていた。
端正な顔。
意外とまつげが長いんだ……。あ、こんなところに白髪発見。ふふ、オジサンだからしょうがないな。
穴のあくほど佐藤の顔を見つめることができて、優香は有頂天だ。
佐藤の存在そのものが愛しい。
優香は深い充実感に満たされていた。
永遠に続いて欲しいと思うほど、静謐で満ち足りた時間。
佐藤も優香の気配に気づいたのか、もぞもぞと動き出した。
優香は佐藤の髪の毛をくしゃくしゃにする。笑みがこぼれてくるのが抑えきれなかった。
目を開けた佐藤と視線が合う。
佐藤は優香を見て、満足そうに微笑んだ。
「感想は?」
優香が嬉しそうな顔で佐藤に聞く。
佐藤は微笑んだまま優香の髪の毛を手で梳きながら答えた。
「しまった、まんまとひっかっかってしまった」
優香、声をたてて笑い出した。明るい笑い声が部屋に響く。
「もー、ホント、意地が悪いなぁ。その余裕が憎たらしい~」
「余裕なんて全然ないよ。マジで」
飄々とした口ぶりは、優香には余裕しゃくしゃくにしか見えない。
悔しくて、優香はわざと美智子の話題をふった。
「そういえば、奥さんは? 連絡しなくていいの?」
佐藤は呆れたように優香を見返した。