手に入れる女

優香は射るような鋭い視線を佐藤に向けた。
しかし、佐藤はその柔らかい笑顔を崩す事はなく、和やかに歓談している。
優香は、その落ち着いた口調から彼の内心の動揺を読み取る事はできなかった。

佐藤の言葉を合図に皆は席についた。
程なくして、注文したシャンパンがグラスに注がれる。乾杯するやいなや口を開いたのは聡子であった。
 
「お兄ちゃんて、こういう人が良かったんだ……想像してたのと全然ちがった~。前の彼女とずいぶん違うよねぇ」
「これッ、さとちゃん。何てこと言うの」

美智子が慌てて聡子をたしなめる。
元カノのことをいきなり持ち出して牽制してくる聡子の幼さはむしろ微笑ましい。

「だってぇ〜、お兄ちゃんって可愛いタイプが好きなんだとばっかり思ってから。
 こんなに綺麗で大人っぽい人、連れてくるとは思わなかったんだもん。
 ねえ、優香さんていくつなの?」

あけすけな質問。
しかも、「綺麗で大人っぽい」なんてわかりやすい嫌みだ。

ーーこのぐらいの嫌みなんてへでもないわよ、聡子ちゃん。 

優香は柔らかに笑った。
気づかないふりをしていたが、隣りの圭太が優香の機嫌をはらはらしながら見守っているのがびんびん伝わって来た。

ホントに圭太はいいヤツだ。

「そうだね、気になるよねー、お兄ちゃんの結婚相手がこんなオバサンじゃねぇ。私、今年32歳なのよ」

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