手に入れる女
料理が運ばれてくると、一同は歓声をあげた。美しく凝った盛りつけの料理の数々に皆、目を奪われている。

優香は、和やかに繰り広げられるたわいない会話を遠くに聞きながら、皆の視線の合間を縫って、佐藤の方に視線を投げた。

ーーどう、驚いた?

佐藤も、慎重に優香に視線を返して来た。

ーー心臓が止まったよ。知ってたのか?

ーーふふ、どうかしらね。

優香は妖艶な笑みを見せた。一瞬のことだった。
優香は隣りで、緊張しながら話を盛り上げようとしている圭太を横目で見た。優香はにっこり笑って佐藤と美智子に話しかけた。

「圭太さんから、ご両親の仲がすごくいいって聞いてます」

佐藤の居心地の悪さと言ったらなかった。
こんなこと、優香以外に言える女がいるだろうか?
佐藤への復讐のつもりなのだろうか。
もともと優香は激しい性格だが、今日は全く容赦がなかった。

隣りの美智子は、『息子の婚約者との会食』というシチュエーションに舞い上がっており、優香の鋭い視線にも気づいていないようだった。

それだって、優香は心の中でフンと鼻を鳴らして美智子を嘲笑っているのかもしれない。

一体どういうつもりなのか?
フォークをつつきながら、あれこれ思いを巡らしていると、「聞いてる? のりさん」と美智子に何回か促されて、ようやく我に返った。

「うん?」
「私たち、仲がいいのかしら?」

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