手に入れる女
美智子が甘えるように佐藤に聞いてくる。
美智子が無意識のうちに佐藤の腕に手をかけたのを、優香は見逃さなかった。
「そうかな」
あいまいに聞こえるように返事をしたのは佐藤らしくない、と優香は思った。
もしかしたら、答えるのに窮しているのかもしれない、と考え、その考えは優香を満足させた。
優香はすぐに圭太に向き直った。
「私たちも、圭太さんのご両親みたいにずっと仲良くなれるようにしようね」
愛情あふれる家庭で屈託なく育った圭太にとって、そんな風に言われる事が嬉しくないはずはない。
優香の手を握りながら「そうだね」と言って優香にぐっと顔を近づけて優しく笑った。
そのデレデレぶりに聡子はさらに機嫌を悪くし、佐藤はいっそういたたまれない思いで一杯になるのだった。
二人を直視できない。
佐藤は、目の前の現実を優香の本心だと認めたくなくて、目を背けていた。
「優香さんて仕事続けるんでしょう? バリバリ働いててお料理とか家のこととか出来るの?」
聡子は、また優香を試そうとしているようだった。
優香は、柔らかい微笑みを崩さない。
ーーいきなりそこ来るんだ。何か、定番だわ。なーんでさとちゃんなんかにごちゃごちゃ言われなきゃいけないのかしら。
アナタに迷惑かけるわけじゃないし、大きなお世話よねぇ。
優香はこの状況を楽しみ始めていた。