手に入れる女
ウソみたいに家族思いの佐藤、愛される事に慣れきっている美智子、大好きなお兄ちゃんを取られて拗ねている妹、それをよしよしと受け止める優しい兄、絵に描いたような理想の家庭にちょっとした刺激を与えてみたらどうなるだろうか。
「もちろん、仕事は続けるつもりよ。料理は好きじゃないけど、例えば圭太さんと二人でお料理教室にでも通ったら問題ないと思う。
二人で食べ歩いたっていいしね、お義父さんとお義母さんみたいに」
「料理教室かー。確かに二人で行くのは楽しいかもね」
嬉しそうに相づちをうつ。
圭太はホントにいい男だと思う。
佐藤に会いさえしなければ、優香は幸せだっただろう。
「優香さんの家はいつ行っても綺麗だしね。優香さんってこう見えてキレイ好きだよね」
「こう見えて、ってどういう意味?」
「おおらかなのに、っていう意味。褒めてるんだよ」
「そうかなー、ま、そういうことにしておきましょう」
いかにも結婚間近な恋人同士の会話に、聡子が鼻白んでいるのは明らかだったし、佐藤の探るような視線もひしひしと感じていた。
次は何を言い出すか、警戒心をいっぱいにして優香の一挙手一投足に注意を払う佐藤を見て、優香は大いに満足をした。