手に入れる女
圭太はお手洗いの前で優香を待ち伏せていた。
優香が出てくるなり、駆け寄って声をかける。
今日の会食で一番気が気じゃなかったのは圭太だっただろう。自分が心に抱える邪念を思うと、優香は申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
ーー圭太は、多分、あたしにはいい人すぎる。
「大丈夫? 優香さん」
「大丈夫よ~。いいご家族じゃない~」
圭太が安心するように、無邪気な笑みを顔に浮かべながら圭太の手を握った。
「お袋のことはちょっと心配してたんだが、さとがなァ、……優香さん気ィ悪くしたでしょ」
圭太は、優香の腰に手を回して来た。
「あー、さとちゃんねぇ、大丈夫よ。絶対ブラコンだと思ったもん。さとちゃん、可愛いじゃない。
こんなに素敵なお兄ちゃんを盗っちゃったんだから、さとちゃんが怒るのも無理ないわよ」
その言葉に圭太は少し安心したようだった。
「優香さん、すげー、余裕」
「当たり前よ。私、さとちゃんよりいくつ上だと思ってんの。だてに年はとってないわよ」
「あとデザートだけだから、もうちょっと頑張ってくれる?」
「頑張るのは圭太の方じゃない? あたしは楽しんでるよ」
少なくとも楽しんでいる、っていうのはウソじゃない。