手に入れる女

優香は上品ながら大胆に背中がカットされたワンピースにかかとの高い華奢なヒールを履いていた。
一足先に春を先取りしたような、淡いパステルカラーのふわりとしたスカートから形の良い脚を見せていた。

うすく化粧しているその肌は陶器のようで、ピンクの唇もつややかに潤っている。
ゆるくまとめた髪からのぞくうなじを見たとき、佐藤はぞくっとした。

それは、結婚する前の女の匂い立つような美しさだった。

優香は輝いていた。
佐藤の初めて見る優香だった。

「いらっしゃい」

それだけ言うと、優香は佐藤の目をじいっと見ながら挨拶をした。

「お邪魔します。今日は、お招きありがとうございます。これ、お土産です」

可憐な優香に佐藤はどぎまぎしていた。
佐藤の知っている、不屈の精神で立ち向かってくる優香とは別人のようだ。

圭太が、優香の手を取って嬉しそうにリビングに案内している。
レディをエスコートする騎士にでもなったつもりだろうか。圭太はひとく丁寧な物腰だった。

佐藤は二人を直視できなかった。

美智子は二人を歓迎した。笑顔が絶えない。
テレビの前のカウチに二人を座らせると、さっそくDVDを流し始めた。圭太も優香も楽しそうに見ている。
圭太の手が優香に触れるたびに、佐藤は目を背けた。

それにしても…、佐藤は、優香の神経の図太さにある種の感動を覚えていた。

自分は、圭太が優香に触れるたびに、金縛りにあったかのようなショックを受けているのに、優香は平気で圭太に甘い声を出している。

優香のマンションに行ったのはつい先日のことだ。あんなに激しく愛し合ったのに、どうして自分の目の前で、平然と圭太に肌を触らせていられるのか。

佐藤はひどく混乱していた。


< 190 / 216 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop