手に入れる女
優香が天井を向いたまま突然ぽつりと言い出した。
「佐藤さん、そういえば、来週圭太がうちに引っ越してくるの。
今度来たとき、圭太がいてもびっくりしないでね」
冷水を浴びせられたようだった。
「……じゃ、もう来ないよ」
ようやくそれだけ言う事が出来た。
優香は、来たっていいじゃない、と事も無げに言ってクツクツと笑った。
ーー一体、この女は何を考えているんだ?
佐藤はカアッとなって思わず声を荒げる。
「そんな風に言うなよ。
圭太がいたら来られるわけないんだからさ。圭太と結婚するつもりなんだろう?」
「もちろん」
何をいまさら、というような顔で答えて、優香はふっと横を向いた。
体を起こして、上から佐藤の顔を覗き込む。その顔は不気味に笑っていた。
「ねえ、美智子さんとはやってるの?」
挑発するような言い方。
佐藤は答えなかった。
優香はいつも佐藤を受け入れる。結ばれて溶け合って一体になるような感覚。
それを感じているのは佐藤だけではないはずだ。
それなのに、圭太との結婚もやめようとしない。佐藤を嘲笑するかのように、圭太との仲を佐藤に見せつける。
そして今また、優香は、佐藤を試すように、聞きたくない事、言いたくない事に触れてくる。
無言のままむすっとしていると、優香は挑戦するような不敵な笑みを浮かべて話を続けた。