手に入れる女
「やってるよね、やらないと怪しまれちゃうもんね。
あなたのことだから、美智子さんにだって、すっごく優しく抱きしめて愛してるよ、とか言うんだろうね。なんか目に浮かぶ。」

あまりに不愉快な話に、佐藤は露骨に不機嫌な声になった。

「何でそんな話するの?」

優香は、まるで聞こえてないかのように佐藤をするっと無視して話を続けた。

「あたしと圭太の話も聞きたい? 圭太ってね、意外と強引なの。
最初に会ったのは合コンだったんだけどね、あたし、すっごく機嫌が悪かったの、その時。
なんでかわかる? 

その日、コーヒーショップで初めて美智子さんに会った日よ。
あなたがすごく素敵で、美智子さんがすごく嬉しそうで、それを見てたら腹が立って来ちゃって、それで機嫌が悪かったんだけど、圭太はなんか一生懸命相手してくれたんだよね。

私も調子に乗ってどんどん飲んだから記憶をなくしちゃって、気がついたら、あたしは裸で隣りに圭太がいたってわけよ。
このベッドよ。

あー、やっちゃったなーって思ってたら、圭太がコーヒー入れて、ベッドまで持って来てくれた。
そういう優しいとこ、あなたそっくりだよね。やっぱり親子だよねー。」

「…もう、話聞きたくない」

佐藤は、さらにむすっとして、子どもみたいに口を横一文字に結ぶ。
優香は勝ち誇ったように、ふふふ、と余裕のある笑みを浮かべておかしそうに笑った。



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