手に入れる女
「佐藤さんがふてくされてるの、初めて見た。ねえ、この話聞いて嫉妬した? すごーく嫉妬した?」

「どうしても、言わせたいんだ?」

優香は意地の悪い笑顔で佐藤を促す。

「言わせたい。」

佐藤は腹が立っていた。
優香にも自分にも。
思い通りにならない自分の感情に一番腹が立つ。

「じゃ、言うよ? 嫉妬した。すごーく嫉妬した。君の体を圭太が触るなんて許せないと思った。
圭太に向かって君が楽しそうに笑ってるのを見ると腹が立った。圭太と君の結婚を祝福したくないと思った。
もう会わなければいいと思っていても、圭太と君が一緒になることを考えたら、いつもいてもたってもいられずに、ここに向ってしまう。

 さっきだって、圭太がここに引っ越してくるってきいて、君はどうしてそんなことを許すんだ?って思った。
なんで圭太と結婚するんだ、って思った。

圭太に嫉妬した。あいつは若くて独身だ。君を自分だけのものにすることができるんだ。そのことに腹が立った。
指を加えて見てるしかない自分にも腹が立った。
それを一生横で見てるなんて、考えただけでも気が狂いそうだよ。」

佐藤は言いたいだけ言い放つと、怒ったように「これで気が済んだ?」と優香に向って吐いた。

「嫉妬なんてしなくていいのに。あたしが愛してるのはあなただけなんだから。」

優香は冷静に答える。
佐藤はおかしくなりそうだった。

「じゃ、どうして圭太と結婚するんだ?」

「そうすれば、ずっとあなたの近くにいられるもの。
あたし、縁なんて切ってあげないわよ。ずっとあなたのそばにいたいんだもの。」

佐藤はそれを聞いて言葉を失った。優香は不敵な笑みを浮かべたまま佐藤の上にのしかかってくる。

「私はあなたのものなのよ。」

優香は佐藤にしゃぶりついた。


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