手に入れる女
まるであり地獄のようだ……佐藤は隣りに横になっている優香を見ながら思った。
もがけばもがくほど落ちて行く。
優香の安らかな満足した顔を見ていると圭太と結婚しようとしていることがどうしても現実のものとは思えない。
「……君はどうしてそんな顔をしていられるんだ、圭太と結婚するのに」
「あなたの横で眠ることができて幸せだからよ」
佐藤が何か言おうとした時、優香のケータイが鳴った。
佐藤の目の前で電話を取り、まるで佐藤などいないような素振りで電話に応えていた。
「もしもし? どうしたの?」
「……」
「え?明日? 空いてるよ」
「……」
話し振りからして、電話の相手が圭太だということが佐藤にもわかった。
「うん、じゃ、来てよ。うん、……うん、じゃ、待ってるから」
「……」
「私も。じゃね、おやすみ」
楽しそうに話をする優香を横で見ていた佐藤はイライラして、電話を切ったとたんに優香をなじった。
「今の圭太?」
優香は佐藤の追求にも涼しい顔をしている。
「そうよ、週末だから明日の朝、遊びに来るって」
佐藤は怒りを抑える事が出来ずに大声をあげた。
「断れよ」
「どうして? 圭太は婚約者なのよ。そんなこと、できるわけないじゃない」
冷たく微笑みながら言う。