手に入れる女

圭太も怒りを露わにした。

「親父、優香さんとは別れないのかよ?! こんだけみんなを不幸にしといて自分だけ好き勝手やるのかよ?!」

好き勝手か―—。
確かに妻を捨て、家族を裏切り、愛人の元へ行こうというのだから、非難千万だな。
しかも息子の婚約者を奪い取ったのだから、申し開きの出来るはずもなかった。

佐藤は圭太の怒りも最もだと自嘲していたが、どこか人ごとのような気分が抜けなかった。

「お前の言う通りだよな、圭太。人のものを横から奪って家庭を崩壊させて全く大人げないよな…。」

乾いた声でポツリと言う。淡々としたその口調には後悔も反省も感じられなかった。

開き直りというほど強い意志でもなかったし、かと言って、どうでもいい、という投げやりな気分でもなかったが、しかし罪悪感もそれほど感じてもいなかった。

そろそろ好きにさせてくれよ。

強いて言うなら、そういう気分が佐藤に蔓延していた。
「幸せな家庭」が重たい。今まで十分に家庭に尽くしたではないか。

解放させてくれないか? オレは、自分の心の奥底に閉じ込めていた訳のわからない感情が何かを突き止めたいんだ……。
色々な思いが交錯したが、それでも罪悪感はあまり感じていなかった。

ただ、美智子に申し訳ない気持ちがあるだけだった。



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