手に入れる女
最初に優香のマンションに泊まりに来たときからしてそうだった。
もう何年も暮らしているかのような違和感のなさに優香はかえって戸惑った。
優香は佐藤に聞かずにはいられなかった。
「………私が言うのもヘンなんだけど、本当に離婚するの?」
「そうしない方がいいの?」
意外だな、というような顔をして返事をする佐藤に、優香はますますあせる。
「いや、なんか展開が早すぎて、本心なのかな……とか? 一時的に熱に浮かされてるだけじゃない、私が言うのもナンだけど」
「そうかもね。でも、うかうかしてると、圭太がここに住み着いて結婚しちゃいそうだからなー。やっぱりそれはイヤだ」
真面目とも冗談ともつかない顔で言う佐藤を見ていると、優香は佐藤の本心が分からなくなりそうであった。
不安そうな優香の顔を見て、佐藤は不思議そうな顔をした。
「今まであんなに自信たっぷりだったのに、急にどうしちゃったの? 君は僕のものなんだろう?」
しかし、こんなに軽々しく彼女との結婚生活を精算できるものなのだろうか。
25年一緒に生活していたとしても壊れる時というのは、こんなにあっけないものなのだろうか。
「そうだけど、絶対奥さんと離婚しないと思ってたから」
「何で?」
「だって奥さんとすごく仲が良さそうだったし、大事にしてたじゃない
「そうだよ」
「だから……」
「だから、君が欲しいのに、彼女と結婚し続けるなんてできないよ」
佐藤はきっぱりと言った。