手に入れる女
佐藤は、山本と飲んで、ひとしきり話をしたら、大分気持ちが落ち着いて来た。
例え優香が佐藤に気があったとしても、大したことでもないような気がしていた。
佐藤の心がざわざわとする、などと言ったって、結局のところコーヒーショップで会った時に軽く世間話する程度の仲で、間違いなど起こりようもないはずだ。
別に、佐藤の方からこれ以上どうこうするつもりもなかったし、優香の方だって偶然会った時に佐藤を惑わすかのように思わせぶりなことを言ってるだけだ。そんな関わりを本気にするほどお互い子どもではない……
家に帰る頃には気分もすっかり落ち着いて、いつもの佐藤に戻っていた。
いつものように、美智子の用意してくれたお茶漬けをおいしく頂く。
美智子が、佐藤の隣りに座って、あれこれと一日の出来事を楽しそうに話すのもいつものことだった。
昼間、心がざわついたのがまるで嘘のように、佐藤は穏やかな気持ちだった。
美智子はふと思い出したように、昔近所に住んでいた幼馴染の話をしだした。
子供の年が近かったせいか、家族ぐるみで仲良くなった家族である。
転勤で引っ越した後も、挨拶のやり取りは続いていた。そこの息子が今年結婚するらしいのだ。
美智子は一人息子と比べてぼやいていた。
「ウチのケイちゃんなんか彼女もいないみたいなのにねェ」
「就職して一人暮らしし始めたばっかりだから、まだ、そんな余裕もないんだろう。あと2、3年もすれば彼女を連れてウチにやってくるさ」
佐藤はのんびりと答えた。