手に入れる女
平静でいられなかったのは佐藤も一緒だ。
頭はチーズケーキのことで一杯で、中途半端な返事が返って後を引いた。
優香の顔と美味しそうなチーズケーキが交互に頭に浮かんでくる。
頭を掻きむしっても、叫んでみても頭から出て行ってくれなかった。
いっそ何でもない顔であっさり受け取れば良かったのだ。
気になって仕方がないのは、断ったからなのだ……
「あー、食べれば良かったー」
「何を?」
大声で叫んでベッドに倒れ込むと、美智子がキョトンとした顔でそこに立っていた。
「え?!」
美智子に気づかなかった佐藤は、焦っておき上がろうとして足を滑らせて腰をしたたかにうってしまった。
「いたた…」
美智子は、すぐさま佐藤に駆け寄って腰をさすった。
「のりさんが動揺してる。珍しいな〜。何かあったの?」
美智子は無邪気に核心をついてくる。佐藤は肝を冷やした。
「あ、いやね、今日忙しくてチーズケーキ食べ損なったもんだから」
ようやくそれだけ言うと、痛そうにベッドに横になった。